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ルーフィングとは?ルーフィングの重要性や種類
雨漏りや屋根修理に関して調べていると「ルーフィング」という言葉よく見るかと思います。しかし、実際にルーフィングの役割や必要性について理解している方は少ないのでないでしょうか。
ルーフィングは雨漏りを防ぐうえでとても重要な役割を担っており、建物を長持ちさせるためにも欠かせないものです。このページでは、ルーフィングの必要性や種類、施工方法などについて説明いたします。
ルーフィングの役割
ルーフィングとは、屋根材の下に取り付けられているシートのことを指します。防水紙や防水シートとも呼ばれます。
ルーフィングは屋根の防水性を高めるために設置されており、屋根材を通り抜けて内側に入ってきた雨水がそれ以上、内部に入り込まないように阻止する役割があります。
一見すると屋根材が雨水の浸入を防いでると思われますが、屋根材には通気や排水のための隙間が開いているので、屋根材だけでは雨漏りを防ぐことはできません。そこで屋根材下にルーフィングを取り付けて、雨水をシャットアウトします。
この仕組みについて、専門用語では屋根材を「一次防水」、ルーフィングを「二次防水」と言います。
ルーフィングがきちんと施工されていなかったり、破れ・破損が生じていると、屋根内部に雨水が浸入して雨漏りに発展してしまいます。
このようにルーフィングは雨漏りを防ぐために非常に重要な役割を果たしており、屋根を構造するうえで欠かせないものとなります。
ルーフィングの種類
ルーフィングの種類は、主に以下のようなものがあります。それぞれ性質や耐久性が異なります。
アスファルトルーフィング
アスファルトルーフィングは最もスタンダードで、多くの住宅に用いられている種類です。原紙と呼ばれるシート状のフェルトに、道路にも使われているアスファルトを染み込ませて作られています。
アスファルトは防水性が高く、価格も比較的安めです。ただ、耐用年数が約10年と短めなのがデメリットとして挙げられます。
改質アスファルトルーフィング
改質アスファルトルーフィングは、上記で紹介したアスファルトルーフィングを改良したもので、アスファルトに合成樹脂や合成ゴムを混ぜ合わせて作られています。ゴムアスファルトルーフィングとも呼ばれています。
ゴムを使用しているので伸縮性があり、温度変化にも強い特徴を持ちます。さらに耐久性も高く、耐用年数は20年~30年程です。
価格は高めですが、長期的に見るとメンテナンスにかかるトータルコストを抑えられるため、現在は改質アスファルトルーフィングを採用するケースも多いです。
透湿ルーフィング
透湿ルーフィングは、湿気を外に逃がす性能を持つタイプです。建物内部に湿気が溜まった状態が続くと木材の腐食や劣化に繋がるため、湿気を逃がすことで建物の劣化を抑えられる効果があります。
また耐用年数は50年程度と言われており、耐久性にも非常に優れています。ただ、費用は高額です。
高分子系ルーフィング
高分子系ルーフィングは、アスファルトを使用せずにナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いるタイプです。
アスファルトを使っていないため非常に軽量で、耐用年数は15年程となります。また、高分子系ルーフィングは使用する材料によって性能が異なり、遮熱性や透湿性などの特性を持った種類もあります。
粘着層付きルーフィング
粘着層付きルーフィングは、ルーフィングの裏面が粘着シートになっているタイプです。
固定する際にタッカーを使わずに貼り付けられるため、ルーフィングに開ける穴を最小限に抑えて下地に密着させることができ、それにより防水性も高まります。
デメリットとしては価格が高めの点や、下地にピッタリと貼り付けるので湿気を逃がしにくいといったことが挙げられます。
不織布ルーフィング
不織布ルーフィングは名前の通り、不織布で作られているタイプです。
紙を原料とするルーフィングと比較すると耐久性が高く、破れにくいという特徴があります。ただ、費用は高価になります。
ルーフィングを選ぶときのポイント
屋根材よりも耐用年数が長いルーフィングを選ぶ
ルーフィングを選ぶときは、屋根材よりも耐用年数が長いものを選ぶようにしましょう。
ルーフィングの貼り替えを行う際は、屋根材を全て撤去しなければならず、瓦以外の屋根材は一度撤去すると再度使うことはできません。
そのため、屋根材より耐用年数が短いものを使用していると、屋根材の耐用年数を迎える前に、ルーフィング交換のために屋根材もあわせて張り替える必要性が出てきます。
どれだけ耐久性の高い屋根材を使っていても、ルーフィングが機能していなければ雨漏りに発展してしまうので、屋根材とルーフィングの耐用年数のバランスを見ることが重要です。
見積書・耐久性をチェックする
屋根工事を行うとき、ルーフィングについてしっかりと確認する人は少ないかと思います。
業者の中には費用を安くするために、安価で耐久性の低いルーフィングで施工しようとする業者もいるため、見積りを取る際はルーフィングの種類や耐久性などもチェックしておくことが大切です。
雨漏りを防ぐ役割を担っているのはルーフィングなので、屋根材だけでなく、ルーフィングにも注目してみるようにしましょう。
正しいルーフィングの貼り方
ルーフィングを貼るときは、次のような流れで作業を進めていきます。
1.ルーフィングを貼る
まずは、野地板と呼ばれる木材の下地にルーフィングを貼っていきます。
注意点として、ルーフィングは軒先から順に貼っていくことが重要です。上から順に貼っていくとルーフィングの重なり部分の隙間が上向きになるため、雨が内部に浸入しやすくなってしまいます。
また複数枚のルーフィングを使用するので、ルーフィング同士に間隔ができないように、端を数十センチほど重ねて貼っていくことが重要です。
2.雨漏りしやすい部分を補強する
ルーフィングを全体に貼り終えた後は、雨漏りしやすい部分にさらに重ね張りして補強していきます。
屋根の頂上部である棟や谷部分などは雨の影響を受けやすいので、二重・三重にしっかりとルーフィングを貼り付けます。
3.ルーフィングを固定する
ルーフィングの固定方法は、使用するルーフィングの種類や施工内容によって異なります。
タッカーで固定する
タッカーとはホッチキスのような道具で、屋根に対して垂直に打ち付けてルーフィングを固定していきます。
タッカーを使用するには高い技術力が必要で、正しくタッカーを打ち込めないと、タッカーが浮いて雨水が浸入してしまったり、強く打ちすぎてルーフィングが破損するといったトラブルに繋がります。
また、タッカーによって生じた穴は、ルーフィングの一部が太陽光で溶けることによって塞がるため、そこから雨漏りする心配はほぼありません。
粘着タイプを使用する
前述したように、ルーフィングの種類の中には、裏面に粘着テープが付けられているものもあります。
粘着層付きルーフィングであれば、タッカーを使わずに固定できるので、ルーフィングに穴を開けずに施工ができます。さらに穴が広がったり、破れる恐れもないため、雨漏りのリスクを最小限に抑えることが可能です。
釘やビスで固定する
屋根のカバー工法を行う際は、スレートなどの屋根材の上からルーフィングを貼っていきます。この場合は、スレートにタッカーを打ち込むことができないため、釘やビスを使ってルーフィングを固定します。
釘やビスは、タッカーで留めるよりも大きな穴が開くため、釘穴から雨水が入り込まないように防水シートを貼り付けたり、コーキングで隙間を埋めるなどして防水性を高めます。
ルーフィングのメンテナンス時期
ルーフィングは普段見ることができない部分なので、状況を把握するのは難しいです。ほとんどの場合は、雨漏りが発生してからルーフィングの劣化に気が付くケースが多いです。
ルーフィングのメンテナンス時期は使用している種類によっても異なりますが、新築の場合は10年~15年程を目安にメンテナンスするといいでしょう。
なぜなら、新築時はアスファルトルーフィングを使用することが多く、このアスファルトルーフィングの耐用年数が10年程度だからです。
メンテナンスを怠っていると、ルーフィングの破損や防水性の低下によって雨漏りを引き起こすため、定期的に専門業者による点検・メンテナンスを実施することが大切です。
まとめ
ルーフィングとは、屋根材の下に取り付けられたシートのことで、雨水の浸入を防ぐ重要な役割を果たしています。
劣化が進むと防水性が低下したり、破れ・破損が生じてしまうため、ルーフィングの耐用年数にあわせて定期的に交換する必要があります。
ルーフィングに関して詳しく知らないという方も多いかと思いますが、屋根工事を行う際は業者任せにせずに、ご自身でもルーフィングの種類や耐久性もしっかりと確認しておくようにしましょう。
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