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屋根で起こる毛細管現象とは?雨漏りとの関係性や未然に防ぐ方法
雨漏りの原因は様々、その中には毛細管現象が関係しているケースもあります。
建物に破損などの異常がないのに雨漏りしている場合は、毛細管現象によるものの可能性があるので、その仕組みや屋根の構造をしっかりと理解しておくことが大切です。
このページでは、毛細管現象とは何か、毛細管現象が発生する原因や雨漏りに繋がる理由などについて説明いたします。
毛細管現象とは
毛細管現象とは、細い空間で液体が下から上に吸い上げられる現象のことを言います。
例えば、飲み物が入ったコップにストローを挿したときに、コップ内の飲み物よりストロー内部の飲み物のほうが水位が高くなるのは、この毛細管現象が起きているからです。
そして実は、毛細管現象は屋根でも発生することがあります。
毛細管現象が雨漏りに繋がる理由
屋根は複数の屋根材を並べて作られているため、屋根材と屋根材の間には隙間が生じます。このように聞くと、隙間から雨が浸入するのではないかと思われるかもしれませんが、この隙間は屋根内部に入り込んだ雨水を排水したり、湿気を外に逃がす役割を果たしています。
もし隙間が塞がれてしまうと屋根内部に雨水や湿気が滞留し、最終的に雨漏りの発生に繋がるため、雨漏りを防ぐ為にも屋根に隙間を作ることはとても重要です。
また、そもそも雨水が浸入しないように隙間を全て塞げばいいと考えるかもしれませんが、建物の構造上、全ての隙間を完璧に塞ぐことはできません。そのため、万が一に備えて、雨水の排水経路を確保して必要があります。
では、屋根で毛細管現象が起こる理由ですが、ここで上記で説明した屋根材同士の間に生じる隙間が関係してきます。
毛細管現象は、細い空間で液体が重力に逆らって下から上に昇っていく現象です。屋根の場合は、屋根材同士の隙間が狭くなると毛細管現象が発生し、細い空間である隙間に向かって雨水が吸い上げられていきます。
そして、この吸い上げられた雨水によって屋根の隙間が塞がってしまうと、屋根内部の雨水が排水できずに滞留し、やがて内部に溜まった雨水が室内に浸水していってしまうのです。
屋根で毛細管現象が起こる原因
前述したように、屋根で毛細管現象が起こるのは屋根材同士の隙間が狭くなるからです。隙間が狭くなる原因として挙げられるのは、次の2つです。
屋根塗装によるもの
屋根塗装の際に隙間に塗料が入り込むことが原因で、屋根の隙間が塞がってしまうケースがあります。また屋根の塗り替えを繰り返すと、何層にも重なった塗膜によって屋根材自体に厚みが出て、その結果隙間が狭まっていくこともあります。
このような状況を避ける方法として、屋根の隙間が塞がらないようにする縁切り・タスペーサーが有効的です。縁切り・タスペーサーについては、次項の「毛細管現象を防ぐための対策」で説明いたします。
汚れが溜まっている
屋根は常に外気からの影響を受けているため、コケや土埃、ゴミなどの汚れが溜まりやすい部分と言えます。このような汚れが屋根に蓄積すると、徐々に隙間が狭くなっていき、毛細管現象に繋がってしまいます。
毛細管現象を防ぐための対策
毛細管現象を防ぐための対策として非常に重要なのが、縁切り・タスペーサー工法と呼ばれる屋根に隙間を作る作業です。スレート屋根やガルバリウム鋼板などの屋根材で行われます。
縁切りとは、カッターや皮スキなどを使い、塗装後に手作業で塗膜を切って隙間を作っていく方法のことです。そしてタスペーサー工法とは、塗装前にタスペーサーという部材を隙間に差し込んで、塗膜で隙間が埋まらないように事前に必要な隙間を確保する方法です。
現在の主流は、後者のタスペーサー工法です。
縁切りの場合は、塗装後に屋根に上らなくはならないので、せっかく塗装をしても屋根が汚れてしまったり、カッターで切った部分がガタガタになるといったデメリットがあります。
タスペーサー工法であれば塗装後に屋根に上る必要がなく、さらに手作業で塗膜を切る方法とは異なり、部材を差し込むだけなので作業時間の短縮もできます。
縁切りや毛細管現象に関する知識が無かったり、経験が不足している業者に依頼してしまうと、屋根塗装をしたときに塗料で隙間が埋まって雨漏りに発展する恐れがあります。そのため、正しい知識と豊富な経験を持つ業者を選ぶことが大切です。
縁切り・タスペーサーが不要な屋根
屋根材の状況によっては、縁切り・タスペーサーが不要なケースもあります。
■新築後、初めての塗り替え
新築後に初めて塗り替えを行う場合は、塗膜が何層にも重なって隙間が狭まる心配がまだないので、縁切り・タスペーサーを施工しなくても十分に隙間を確保できます。
■屋根材が反り上がっている
屋根材が経年劣化により反り上がっている場合は、タスペーサーを挿し込んでもしっかりと固定されずに落下してしまいます。そのため、タスペーサーは不要です。
また、劣化している屋根材に無理にタスペーサーを挿すと、さらに屋根材を傷めてしまったり、縁切りで屋根に上った時に破損する恐れもあります。
■6寸勾配以上の屋根
6寸勾配以上の傾斜のきつい屋根の場合は、塗料が隙間に詰まる心配が少ないので、縁切り・タスペーサーは不要です。また、タスペーサーを挿したとしても固定されずに落ちてきます。
まとめ
毛細管現象とは、細い空間において液体が重力に逆らって下から上に昇ることを言います。屋根の場合も、屋根材同士の隙間が狭くなると毛細管現象が発生し、隙間に向かって雨水が吸い上げられる現象が起こります。
そして、吸い上げられた雨水によって屋根の隙間が塞がると、屋根内部の雨水が排水できなくなり、最終的に室内に雨水が漏れ出してしまいます。
毛細管現象による雨漏りを防ぐためには、屋根塗装の際に隙間を作る「縁切り」や「タスペーサー」が重要です。
知識のない業者や手抜き工事を行う業者に塗装を依頼してしまうと、縁切りをしなかったことが原因で雨漏りに発展する可能性もあるので、見積書を見るときは縁切りまたはタスペーサーの記載があるかも確認しておくようにしましょう。
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