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更新日:2023/03/21

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解説者鈴木良太【外壁塗装110番 代表】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。

宇野清隆【株式会社カルテット 代表】
職人暦20年、他の塗装店にも技術などを教えるプロ中のプロ。日本ペイント、アステック、その他の大手塗料メーカーから全国1位の実績と表彰。審査の厳しいホームプロでは、毎年顧客満足優良店に選ばれる。

児玉圭司【株式会社児玉塗装 代表】
名古屋市で地元のお客様に愛されて50年。児玉塗装の3代目。16歳の若さで塗装業入りし、趣味も特技も塗装。圧倒的な知識と技術でお客様からの満足度も高い。

鉄部塗装で錆(サビ)は止まる!錆止めの手順と単価。

【この記事の要約】

錆止めは、鉄部を塗装する際に下塗りとして行う作業です。錆止めを塗らないで、中・上塗りをすると、直ぐに剥がれてくる可能性があるので注意が必要です。

錆止めとは、以下の2つのことを言います。

・鉄部が錆ないように、表面に"下塗りとして塗る塗料"
・上塗り塗料に錆止め機能がある塗料

一般的に錆止めというと「下塗りとして塗る塗料」のことを指します。ここでは錆の発生理由と錆止めのタイプ、施工単価について説明していきます。

なぜ錆はできるのか?

鉄は、大気中の水分と酸素に触れることによって酸化し腐食します。これが酸化鉄=錆です。

科学的に説明すると、鉄は原子Feと自由電子e-からできていますが、雨水などの水分(H2O)が付着することで以下のように反応します。

・鉄(Fe)は、鉄に付着した水分(H2O)により、イオン化してしまい自由電子e-が逃げてFe2+からFe3+に変化
・逃げた自由電子e-は、空気中の酸素(O)と水分(H2O)に反応して水酸化鉄イオン(OH-)に変化

この2つが、引き寄せあいFe(OH)3となり、水分(H2O)がなくなった後に錆(Fe2O3)だけが残ります。

この残った錆(Fe2O3)が、鉄部でよく見る赤茶色の錆です。錆は見た目が悪いだけではなく、進行が進むと鉄全体が脆くなり、耐久性が下がるため、早急に補修が必要です。

水も酸素も自然界に普通に存在するものですから、なにもしないでおけば、時間と共に酸化が進行し錆びるのは当然です。

錆止めの役割

鉄は、水分(H2O)と接触することで反応して錆てしまうので、錆止めにはこの接触を遮断する役割があります。錆の進行を抑える役割はありません。

そのため、既に錆が出ている箇所を塗装する場合は、今ある錆を除去(ケレン)してから塗装する必要があります。

錆止め塗料のタイプ

錆止め塗料は、使用されている錆止め顔料が鉛系か、それ以外の金属化合物かによって分類されます。

エポキシ樹脂系錆止め【現在主流】

エポキシ樹脂系錆止めとは、エポキシ樹脂に錆止め顔料を入れた下塗り材で、耐水性、密着性、耐久性に優れており、防錆効果が高いです。浸透性があるため素地の内部に入り込み、補強する効果もあります。

ただし、紫外線に弱いという弱点があり、上塗り塗料を塗る必要があります。同じエポキシ樹脂系でもメーカーにより多くの種類が出ており、性能にも幅があります。

油性錆止め

油性錆止めは膜厚が厚く防錆性に優れていますが、乾燥に時間がかかるため作業性に劣り、現在はほとんど使われていません。

シアナミド鉛錆止め

シアナミド鉛錆止めとは、JIS K 5625で規定された錆止めで、橋梁、鉄塔、鉄骨、鉄管などに使用されます。塗替え時の戸建てでは使われません。

一般錆止めペイント

一般錆止めペイントは、上塗り塗料の顔料に錆止め機能が入った仕上げ塗料です。

鉛系やクロム系成分を使用せず、べんがらを主体としたもので、安価ではありますが性能は低くなります。DIY用としてホームセンターで売られています。

業者に依頼した場合、建物の外側では使われませんが、内部で下塗りに錆止めを使えない場合に使用することはあります。

その他

鉛丹錆止めペイント、塩基性クロム酸鉛錆止めペイントなどありますが、環境汚染から現在はあまり使われていません。

錆止め塗料の色

錆止め塗料の色でイメージするのは、一般的に赤茶系かと思います。なぜなら、ひと昔前まで主流だった錆止め塗料に配合されている、鉛丹や塩基性クロム酸鉛などは赤い色をしているからです。

ですが、現在は公害問題や健康面に配慮して、鉛を含まない錆止め塗料も開発されており、それに伴い塗料のカラーバリエーションも増えてきています。

色の種類は商品によって異なりますが、例えばホワイトやアイボリー、ブルー、グリーン、ブラックなどがあります。

ただ、実際に塗装する際は、錆止め塗料の上にさらに上塗り塗料を塗装し、錆止め塗料の色を隠してしまうので、現在でもカラフルな色は使わずに赤茶系やグレーを使用することが多いです。

住宅で塗装する鉄部とは?

住宅で塗装する鉄部は、以下のような箇所です。

・トタンなどの金属屋根
・雨どい
・破風板
・鼻隠し
・庇、軒
・化粧胴差
・水切り
・ベランダの笠木
・太陽光発電設備の架台
・配管バンド
・外階段
・シャッターBOX
・門扉
・灯油タンク
・フェンス などなど。

錆止めの単価

錆止めは、種類が豊富なため値幅がありますが、単価は500~800円/㎡が目安です。

鉄部塗装の手順

鉄部塗装をする時の手順は、以下の通りです。

1.ケレンなどの作業で錆を全て削り落とします。

2.落とせない箇所はリン酸などの薬品洗い、もしくは錆の上から塗れる浸透性防腐塗料を使用します。

3.下塗りとして全体を錆止め塗料で塗装

4.最後に、通常通り、中・上塗りをして完了です。

鉄部塗装のDIYはオススメしない

鉄部塗装のDIYはオススメしません。

錆止めには、錆の進行を抑える効果はないので、塗装する前に今ある錆をしっかりと除去するケレンが重要です。また、市販の錆止めは、一般錆止めペイントに分類される性能の低いものです。

そのため、自分で行うとしっかりと錆を落としきれなかったり、錆止め効果の弱い塗料しか使えず、塗装後にすぐに錆が出る可能性が高くなります。

塗料本来の性能を十分に発揮させる為にも、最初からプロに依頼することをオススメします。

代表的な錆止め塗料

塗料メーカーから様々な錆止め塗料が販売されています。例として、以下のような商品があります。

塗料名 メーカー 種類
ハイポンファインプライマーII 日本ペイント 弱溶剤2液エポキシ ・黒さび色
・赤さび色
・グレー
・ホワイト
オーデハイポンプライマー 日本ペイント 水性2液変性エポキシ ・ホワイト
・グレー
・赤さび色
アクアマックスEXⅡ 関西ペイント 水性1液型特殊変性エポキシ ・グレー
・赤さび色
・ホワイト
スーパーザウルスⅡ 関西ペイント 弱溶剤可溶変性エポキシ ・ホワイト
・赤さび色
・グレー
・黒さび色
SKマイルドボーセイ エスケー化研 2液弱溶剤型エポキシ ・ホワイト
・赤さび色
・クリーム
・グレー
・ダークグレー
アクアサビスト 菊水化学工業 1液型水性アクリル ・ホワイト

まとめ

鉄部塗装をする際は、下塗りとして錆止め塗料を使用し、新たに錆が発生してしまうのを防ぎます。ただし、錆止め塗料には、既に発生している錆の進行を抑える効果はないため、塗装する前にしっかりと錆を除去する必要があります。

錆止め塗料の単価は商品によって異なりますが、㎡あたり500~800円程度が目安です。

鉄部塗装に関してはあまり注目することがないかもしれませんが、金属屋根の塗装や付帯部塗装などを行う場合は、見積書の記載をチェックしてみるといいでしょう。

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