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概算はあくまで相場の確認に。現地調査をして見積書を出す重要性とは?

更新日:2023/07/17

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解説者鈴木良太【外壁塗装110番 代表】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。

宇野清隆【株式会社カルテット 代表】
職人暦20年、他の塗装店にも技術などを教えるプロ中のプロ。日本ペイント、アステック、その他の大手塗料メーカーから全国1位の実績と表彰。審査の厳しいホームプロでは、毎年顧客満足優良店に選ばれる。

児玉圭司【株式会社児玉塗装 代表】
名古屋市で地元のお客様に愛されて50年。児玉塗装の3代目。16歳の若さで塗装業入りし、趣味も特技も塗装。圧倒的な知識と技術でお客様からの満足度も高い。

【この記事の要約】

概算では、正確な外壁面積や劣化状況がわからないため、正しい見積書は出せません。概算で大まかな相場を確認するなら問題ありませんが、契約する場合は必ず現地調査をして正確な見積書を作成してもらいましょう。

色々な方法で見積りを作成する業者がいますが、しっかりとした現地調査をせずに概算だけ契約を迫る業者は危険です。ここでは、なぜ概算だと料金が正確に出せないかという点を説明していきます。

概算だと正確な見積り金額だ出せない理由

概算とは、おおよその見積り金額を出すことで、図面などは使わず建物の延べ床面積から外壁や屋根面積を計算して金額を出します。建物の坪数だけでは、正確な見積りを出せない理由は以下の通りです。

1.坪数が同じでも凹凸があるとない建物だと面積が全然違う

同じ建坪でも外壁1周の長さが違うことがあります。例えば、上図のパターン1とパターン2は同じ坪数(30坪=約100m2)になります。しかし、外壁1周の長さは異なります。外壁の長さが違うと塗る面積が大きくなるので、より多くの塗料が必要になり施工金額は高くなります。

仮に家の高さが6mだとした場合、パターン1では外壁面積240m2、パターン2では324m2になります。実際にはここから開口部をマイナスした面積から見積書を作りますが、同じ坪数でもここまで外壁面積が変わります。

また、外壁の材質の凹凸によっても必要な塗料の量が左右します。凹凸の激しい壁面は塗料を多く使用するので、施工金額が少しだけ高くなることもあります。

2.劣化の状況がわからないので、塗装以外の補修に必要な金額が出せない

外壁塗装は、塗料を塗るだけではなく、劣化箇所を的確な補修をしなければなりません。これをやらないと、どんな良い塗料を塗っても直ぐに剥がれてくる場合もあります。

当たり前ですが、図面には建物の劣化状況は載っていないので、現地調査をしないと補修にかかる費用を見積りできません。

ヒビ割れの大きさだけでも以下のように違います。その他、木部などの付帯部分や屋根なども劣化で補修方法が異なり金額が変わります。

劣化具合 補修内容 単位 価格相場
ヘアークラック
0.15mm以下のヒビ割れ
髪の毛ほどの小さなクラックは、カチオンフィーラーを刷り込み塗装をする。 一式 5,000~15,000円
0.16mm~0.29mm以上のヒビ割れ シーリング材を注入してからカチオンフィーラーを刷り込み塗装をする。 一式 15,000~35,000円
0.30mm以上のヒビ割れ

ヒビ割れ箇所の奥にシーリングが届くようにUカットして補修する。その後、外壁面を綺麗にするため肌合わせをするので手間がかかる。

一箇所 5,000~8,000円

延べ床面積からの見積書で契約する危険性

延べ床面積からの計算だと、正確な外壁や屋根の面積を計算できません。そのため、業者が想定していたよりも面積が大きかった場合に塗料の量が足りなくなる可能性もあります。

このようなことが起きないように、予め大目の塗料を発注したりする業者だと、見積り料金が高くなります。また、足りないまま施工をする業者だと3回塗り予定を2回にしたり、塗料を水で薄めて量を増やすようなことをやる業者もいます。

このようなことをやられると、塗装の耐久年数が落ちてしまい、思っていたよりも早く劣化することがあります。

見積り方法別の数値の正確度は図の通りです。

もし、業者が「延べ床面積からの見積書で十分。現地調査をすると手間がかかるので、見積り金額が高くなる。」このようなことを言う業者は、信用できません。施工後のトラブルになる可能性もあるので、断ったほうが良いです。

現地調査で行うこと

ここからは、現地調査で行うことや所要時間などについて説明していきます。

面積の算出

見積書を作成するにあたり、外壁・屋根・付帯部等の面積を算出します。

面積の出し方は業者によって異なりますが、一般的には図面から算出したり、スケールや計測器などを使って測る方法が用いられます。

装面積は、建物の形状や窓の数などの違いで変動するため、正確な面積を算出するためにも現地調査は欠かせません。

劣化状況の確認

必要な工事内容を把握するために、劣化状況の確認をしていきます。

外壁のチョーキングやひび割れ、屋根材の破損、コーキングの剥がれ、ベランダ防水の劣化など建物全体を調べ、その情報を基に塗料の選定や補修工事の内容を検討します。

立地の確認

現地調査では、建物の状態だけでなく建物の周囲の環境もチェックしていきます。

例えば、建物の周りに足場を建てられるスペースがあるか、建物の前に工事車両を駐車できるか等といった点を見ていき、工事を円滑にまた安全に進められるかを調べます。

もし敷地内に工事車両が停められない場合は、足場を立てる際に近くの道路などから手作業で足場を運ばなければならないため、時間や人手が必要になってしまいます。

現地調査にかかる時間

現地調査にかかる時間は建物の規模によっても異なりますが、一般的な戸建て住宅で1時間程度です。中には、2時間近くかかる業者もいます。

注意すべきなのは、30分以内で終わるような業者です。このような業者は、しっかりと面積や劣化状況を調べずにいい加減な見積書を作成したり、劣化箇所の見落としによって工事開始後に追加工事が必要になってしまう可能性があります。

現地調査の費用

現地調査の費用は、基本的に無料です。お客様に支払い義務が発生するのは、塗装工事の契約を交わしてからです。

見積もりを依頼するだけであれば費用はかからないので、業者を選ぶときは複数社の見積書を比較して、適正価格で信頼できる業者を見つけるようにしましょう。

現地調査の際に業者に伝えておくべきこと

現地調査は、お客様の要望を業者へ伝えられる機会でもあります。業者からも質問されますが、次のような点について考えをまとめておくとスムーズに話を進められるでしょう。

・色や仕上がりのイメージ
・予算
・雨漏りの有無や劣化が気になる箇所
・工事中に関して聞いておきたいこと

塗料のカラーバリエーションや仕上がりは数多くあり、商品によって対応できるかは変わってきます。そのため、事前に参考画像などを提示しておくことで、より希望に沿った塗料や仕上げ方法を提案してもらえます。

また、工事期間について不安な点や疑問点があれば、現地調査のときに聞いておくと安心です。

まとめ

現地調査は正確な面積を算出し、劣化状況を把握するために必要な作業です。現地調査をきちんと行わないと見積書は作成できません。

現地調査を行わなかったり、30分以内で終わってしまう業者は、いい加減な見積書を作成して高額な見積金額を提示したり、お客様のことを考えない手抜き工事を行う可能性があるので注意しましょう。

お客様にとっても自分の要望を伝えたり、業者の対応や人柄を見ることができる機会となるため、現地調査は重要な時間と言えます。

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