鈴木良太【外壁塗装110番 代表】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。
諏訪・高橋法律事務所:高橋智美
私生活では2児の母です。弁護士業をしていて嬉しいのは、起きてしまったトラブルを引き受けることで気が軽くなったと言ってもらえること、依頼者のホッとした顔を見られることです。
高齢化社会への法的な対策は、重要な課題であると考えています。日々事件に取り組みながら、暮らしやすい社会が実現されるように、できることを一つずつやっていこうと思います。
相談内容
隣の家の蔦が私の家の壁にまで伸びてきており、苦情を出したところ蔦を除去してもらえることになりました。しかし、蔦の跡が残ってしまい目立つので、外壁1面の塗装費用を負担してもらうことになりました。
そこで、塗装業者さんに依頼して建物を見てもらったところ、一面だけ塗装すると残りの3面が色褪せている為、変になる可能性があると言われました。まだ築5年で外壁塗装する予定はなかったのですが、こういう場合は全面の塗装料金を負担してもらえるのでしょうか?

なお、民法第233条で、隣家から境界線を越えて伸びてきた竹木の根は自ら切り取って良いが、枝は竹木の所有者に切除させることができるにとどまる旨、規定されています。
判例として
「隣の空き地から伸びてきた蔦を、自宅の壁から剥がしたところ、塗装も一緒にはがれたとして、空き地の所有者に対する損害賠償請求が認められた」(神戸地裁平成27年7月6日判決)があります。
ただし、原告も「蔦の根を切除して被害を食い止めたりせずに放置した点で過失がある」との理由で、過失相殺で賠償額が減額されました。
今回の件でも、過失相殺が問題になる可能性はあります。これまでの経緯にもよりますが、全面の塗装費用を請求できるかは、なかなか微妙な問題です。
自動車事故でも、全塗装か部分塗装かが争われることがありますが、部分塗装しか認められないケースが多いです。ただし、部分塗装では、明らかに、目に見えて違和感が出てしまう場合には、全塗装が認められることもあります。
1面だけ塗り替えた場合、他の3面とどの程度色が違うのか、目で見てどの程度違和感があるかによって、全面の塗装が認めるかどうか決まることになるでしょう。人によって感覚も違うところですので、難しい判断になります。