【相談実績1万件】から導き出した外壁塗装のトラブルを事前に防ぐ方法
鈴木良太【外壁塗装110番 代表】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。
諏訪・高橋法律事務所:高橋智美
私生活では2児の母です。弁護士業をしていて嬉しいのは、起きてしまったトラブルを引き受けることで気が軽くなったと言ってもらえること、依頼者のホッとした顔を見られることです。
高齢化社会への法的な対策は、重要な課題であると考えています。日々事件に取り組みながら、暮らしやすい社会が実現されるように、できることを一つずつやっていこうと思います。
ほとんどのトラブルは、対応が良くない業者と契約してしまったがために起こります。トラブルを事前に防ぐためには、まずは業者選びが重要です。そのあとに、保証内容などの細かい注意点があります。
外壁塗装のトラブルを防ぐには業者選びが一番重要です。故意的に手を抜くような業者や、態度の悪い業者と契約すると色々なトラブルに巻き込まれる可能性あるだけではなく、業者側では何も対応してもらえないことが多いです。以下は実際に合ったトラブル事例です。
■故意的に手を抜くような業者とのトラブル事例
・3回塗りを1回塗りしかされてなく、塗装後2年で剥がれが出てきた。
・保証期間内に倒産され、不具合が出たけどどうすることもできない。
■態度の悪い業者とのトラブル事例
・業者がタバコなどの吸い殻を持って帰らなかったことにより隣人とのトラブルになった。
・高圧洗浄やペンキが隣の家に飛び散りトラブルになった。
このようなトラブルは、しっかりした業者を選べば未然に防げます。このようなトラブルに合わないためにも、業者選びの注意点を含めトラブルを限りなく減らす方法を説明します。
その1 訪問販売が来ても即決をしない
全ての訪問販売が悪い業者ではありません。実際に、優良な業者だとしても駆け出しの頃に仕事がなく、訪問営業していた会社もありますし、評判のいい会社でも訪問営業している会社もあります。但し、トラブルにあう確率を考えると、訪問販売で即決はオススメしません。
下の表は「独立行政法人 国民生活センター」が発表している訪問販売によるリフォーム工事の被害相談件数です。塗装だけではなく、全てのリフォームの合計ですが、塗装でのトラブルが一番多いと言われています。
もし、訪問販売が来て、以下のようなことを言われた場合は注意しましょう。
最初の提示された金額よりも、施工条件が変わらず50万円以上の割引をすると言われた
このような場合は、最初の金額が高く提示されていて、見せかけの値引きの可能性が高いです。例えば、モニター価格、即決価格、キャンペーン価格、塗料などの条件が変わらず50万円以上割引があると危険です。
近くで施工しているので足場を無料にすると言われた
多くの塗装業者は、足場を足場屋に委託しています。そのため、足場をレンタルしている日数分の費用がかかります。
「近くで足場を使っているので、足場代を無料にする」と言われるとそれっぽいですが、塗装業者は足場屋にレンタル料がかかるため、普通に考えると無料にできません。
この無料分の費用は、お客様の見積書の塗料の単価や塗る部分の面積を大きくするなどして、最終的な金額を合わせることが多いです。
外壁のみの塗装で100万円越えている
付帯部や屋根の塗装が入らない外壁のみの塗装で、100万円が越えることはまずありません。仮に、延べ床面積が70坪と大きくても越えません。外壁のみの塗装で100万円を越えている場合は注意してください。
30年以上持つオリジナル塗料を使うと言われた
複数の優良業者に話を聞きましたが、日本ペイント、関西ペイント、SK化研など大手塗料メーカーでも30年持つ塗料は販売されていないと言います。仮に30年持つ塗料があったとして、サイディングに使われる目地(コーキング部分)が先に劣化してくるため補修は必要になります。
その2 「言った言わない」を防止!口約束ではなく必ず契約書を交わす
「契約のときに、足場は無料にするって言っていたのに…」
「ここは塗装してくれると思っていたのに…」
このような「言った言わない」「してくれると思った」のトラブルは非常に多いです。口約束だけでは、法的な効力は弱く、証拠がないので泣き寝入りするしかありません。
口頭でのやり取りを全て録音していれば、業者と争うときに証拠になりますが、反訳書の作成が必要になるので弁護士費用が高くなることもあります。
契約書を交わすのは当然のこと、気になる点は口頭ではなく、必ず文章で残しましょう。
その3 保証は長さだけではなく内容も確認する
「当社は10年保証です!」
このような会社はたくさんありますが、このように言われた場合は以下のことを確認することをオススメします。
どのグレードの塗料で10年保証なのか?
一般的な保証年数は、シリコン系の塗料で5~7年、フッ素系の塗料で7~10年です。
ここで問題となるのが、シリコン系で10年保証を付けている場合です。シリコンは、メーカー発表の期待耐久年数でも10~12年です。建物の立地条件などによって、この期待耐久年数より短くなることはあります。
その場合、10年保証が付いていると、「9年目に劣化してきたから無料で塗り直し…」なんてことをやっていると、まず会社は利益が出ず潰れてしまいます。
そのため、シリコンで10年保証を付けている場合は、保証内容の範囲が狭いか、そもそも10年以内に会社を潰すかの可能性があります。
但し、シリコン系でしっかりと10年の保証を付ける業者もありますので、絶対ダメというわけではありません。あくまでも注意するポイントです。
保証の範囲はどこまでか?
保証とひとことで言っても業者により範囲が異なります。保証年数が長いけど、よく見ると経年劣化は対象外といったこともあります。
ほとんどの場合で、地震などの自然災害による劣化、シーリングの上に塗装をする場合のその部分のヒビ割れなどは保証対象外になります。
気になる場合は、契約前に業者に確認しましょう。
部位ごとに保証年数が異なるのが普通
通常だと、「外壁>屋根>付帯部分」の順番に保証内容が異なります。例えば、外壁5年、屋根3年、付帯部分1年などです。
「7年保証って言っていたから屋根も7年だと思っていた…」このようなトラブルもありますので、事前にしっかり確認しましょう。
その4 リフォーム瑕疵保険を付ける
リフォーム瑕疵保険とは、国土交通省から認可を得た5社のみが扱える保険です。塗料メーカーでもなく、塗装店でもない、第三者の保険になります。
瑕疵保険に加入すれば、第三者の建築士に施工中に仕上がりを確認してもらえたり、契約業者が倒産した場合でも保証してもらえます。
加入金額は、施工料金によりことなりますが、塗装工事の場合だと3~6万円です。
その5 友人や知り合いの業者だからと言って安心しない
「友人に塗装業者を紹介してもらい、施工中に納得いかないことがあったが、紹介ということもあり何も言えなかった…」
このようなトラブルは意外と多いです。次の「その6.しっかりとした業者を選ぶ」のところでも書きますが、紹介してもらった業者がこの基準を満たしているか確認することをオススメします。
その6 業者を選ぶときの注意点
「しっかりした業者が見抜ければ苦労しないよ…」このように思われそうですが、以下の全てに該当する業者を選べば、トラブルに合う可能性はかなり低くなります。
完全後払いの業者を選ぶ
費用の支払いが後払いなら、仮に途中で業者が逃げたりした場合でも金銭的な損害はありません。また、業者も後払いなら「しっかり施工しないと料金が支払われないかも…」と考えるので、しっかり塗装する可能性が高いです。
県知事許可書と1級塗装技能士を持っている業者を選ぶ
塗装業にも資格や許可書があります。技術力や知識を認定する資格の最上位には一級塗装技能士、会社の安全性を評価する許可書には県知事許可書があります。
できれば、この2つを持っている業者を選ぶことをオススメします。
自社施工や自社施工管理の業者を選ぶ
トラブルの多くは、下請け業者が手を抜くことや技術不足により起こります。元請け業者が利益の大半を取ってしまうなど、様々な原因もあるので、下請け業者だけを責められませんが、このようなことを避けるためにも自社施工か自社施工で管理している業者を選ぶことをオススメします。
会社の営業年数が長いか?
独立したての会社でしっかりした業者もいますが、塗装業は計画倒産が多いので、10年保証を付けて2~3年で倒産させて保証をなかったことにするなどがあります。
そのため、このようなトラブルに合わないためにも、法人化してから10年以上続いているような会社を選ぶことをオススメします。
このような会社は、少なくとも契約倒産するような会社ではありません。
まとめ
トラブルに合わないために一番重要なのは、訪問販売が来ても即決をしないことです。全ての訪問販売が悪いわけではありませんが、トラブルが多いのも事実です。
次に、契約する際には、必ず契約書を交わし、保証の内容など口約束はしないで書面に残すことを心掛けましょう。
業者を選ぶときには、後払いが可能な業者で、県知事許可書と一級塗装技能士の資格を持っている自社施工の業者を選ぶことをオススメします。
これらを満たせば、トラブルに合う確率はかなり低くなります。仮に施工中に何か問題が発生しても、誠意を持って対応してくれるはずです。