幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。
今ある色をそのまま活かせる透明なクリヤー塗料
「今あるサイディングの模様が気にっているから、塗りつぶさないでそのままで塗装したい…」このような要望をから生まれたのがクリヤー塗料です。
透明の塗料なので、今ある模様をそのままに塗装できます。ただし、下地が劣化していると使えないので、少し早めの10年前には塗装する必要があります。
クリヤー塗装とは、今ある外壁の色合をそのまま残す為に、透明な塗料で塗装をする方法のことです。クリヤー塗装に使われる塗料には、色の基となる顔料が含まれていません。また正式名称は、クリアー塗装ではなくクリヤー塗装になります。
クリヤー塗料の耐久性
塗料の耐久年数は、塗料に使われる合成樹脂のグレードや水性・油性によって決まります。
クリヤー塗装に使われる合成樹脂は、普通の上塗り材とほぼ変わらず、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂があります。さらに、その中でも水性系と溶剤系(油性)に分類されます。
グレードごとの耐久年数は、以下の通りです。
グレード | 耐久性 |
単価(m2) ※3回塗りの合計 |
アクリル | 5~7年 | 1,400~1,600円 |
ウレタン | 8~10年 | 1,700~2,200円 |
シリコン | 10~15年 | 2,300~3,000円 |
フッ素 | 15~20年 | 3,800~4,800円 |
クリヤー塗装のメリット
クリヤー塗装を行うメリットとして、以下の点が挙げられます。
現在の外壁の色や柄を活かせる
クリヤー塗装は、名前の通り透明な塗料を使用するため、塗装をした後でも既存外壁の色や柄を塗り潰すことなく、そのまま残すことが可能です。
意匠性のある外壁材やデザインが気に入っている場合など、現在の外壁を活かしたいという方は、クリヤー塗装がオススメです。
外壁に艶を出すことができる
クリヤー塗料で塗装することによって、外壁に艶を出すことができます。艶があることで、より外壁のデザインも映えるでしょう。
また、艶の程度は塗料の種類により異なりますが、クリヤー塗料の場合は、艶ありと3分艶の2種類のみであることがほとんどです。
そのため、塗料を選ぶ際は、光沢のある仕上がりにしたいのか?艶を抑えて落ち着いた雰囲気にしたいのか?といった点も考えながら選ぶことが大切です。
艶による見た目の違いは、「写真で比べる5種類の艶の違いと特徴」で説明しています。
チョーキング現象が発生しない
チョーキング現象とは、塗料に含まれる顔料が劣化して、塗膜表面に粉状になって現れる劣化症状のことです。チョーキング現象が発生している外壁を触ると、手に白い粉が付着します。
クリヤー塗料の場合は、原因となる顔料が含まれていないため、塗料が劣化してもチョーキング現象は発生しません。
チョーキング現象が発生しないことによるメリットは、洋服や私物が白く汚れる心配がないとった点が挙げられるでしょう。
通常よりも塗り回数が少ない
通常の塗装は、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本となりますが、クリヤー塗装の場合は下塗りをせずに、中塗り・上塗りの2回塗りで完了します。
塗り回数が1回少ないため、天候や使用する塗料によっては、通常よりも工期が短くなったり、費用を抑えて塗装できる可能性があります。
どのような家にお薦めか?
・サイディングで2色以上の場合
・外壁にデザインがある場合
・レンガ調の外壁の場合
クリヤー塗装は、今あるデザインをそのままにすることが目的の塗料です。これらの外壁は、通常の塗料で塗ってしまうとデザインを残すことができないので、クリヤー塗装がお薦めです。
クリヤー塗装するときの注意点
注意点1
クリヤー塗装は、元の壁の状態が良くないと塗ることができないので、外壁の劣化が激しい場合はクリヤー塗装はできません。
今の外壁の色や模様が気に入っており、そのままの状態を残して塗装したい場合は、早め早めの塗り替えを検討し、遅くても10年前後で塗装するようにしましょう。
注意点2
クリヤー塗装後は、劣化してくると透明だったものが白く濁ってきます。そのため、次回の塗替えは通常の塗料よりも少し早めに行う必要があります。
注意点3
クリヤー塗装を行う場合は、シーリングの色選びも大切なポイントです。
通常の塗装であれば、シーリング部分も塗り潰すことができますが、シーリングの上からクリヤー塗装をするとシーリングの劣化が早まってしまうケースがあります。
また、シーリングの上からクリヤー塗装を施した場合でも、どちらにせよシーリング部分は見える状態になります。そのため、外壁のデザインにあわせて、シーリングの色を選ぶことが重要です。
クリヤー塗装ができない外壁材
クリヤー塗装が向いていない外壁材もあるため、クリヤー塗装を検討している方は、事前に確認しておくようにしましょう。
光触媒・フッ素・無機塗料が塗装してある外壁材
外壁が、光触媒・フッ素・無機塗料といった特殊塗料でコーティングされている場合は、基本的にクリヤー塗装は行えません。
上記のような塗料が施されている外壁は、クリヤー塗装が密着しにくく、塗装をしてもすぐに剥がれる可能性があります。
金属系の外壁材
金属系の外壁材は、表面がツルツルしていて塗料の密着力が悪くなるため、クリヤー塗装は適していません。
特殊塗料でコーティングされた外壁材と同じく、金属系の外壁材にクリヤー塗装を行った場合も、塗装が早期に剥がれてしまう可能性があります。
劣化が激しい外壁材
前項の注意点でも説明した通り、クリヤー塗装は透明な塗料を使うので、劣化を隠すことができません。また、補修を行ったとしても、その補修跡を隠すこともできません。
そのため、外壁にチョーキング現象やひび割れなどの劣化症状が見られる場合は、クリヤー塗装を行うのが難しいです。
将来的にクリヤー塗装をしたいという方は、定期的な点検を行って状況をチェックし、劣化が進行する前にクリヤー塗装をする必要があります。
代表的なクリヤー塗料
様々なクリヤー塗料がありますが、よく使われる塗料は以下のものになります。
・日本ペイント:UVプロテクトクリヤー
単価:2,000~2,500円/m2 ※2回塗りの合計単価
通常の塗料は、下塗り1回の中・上塗り1回の合計3回塗りが基本ですが、このUVプロテクトクリヤーは、中・上塗り1回の合計2回塗りになります。
まとめ
クリヤー塗料は、外壁のデザインや色を残して塗装ができる透明な塗料です。意匠性の高いサイディングやお気に入りのデザインを活かしたい方は、クリヤー塗装がオススメです。
注意点として、外壁材の種類や劣化状態によってはクリヤー塗料ができないケースがあるので、あらかじめ状況を確認しておくことが大切です。
また、現在は塗料の開発も進んでおり、フッ素や無機塗料を使用している外壁材に対応した下塗り材なども発売されているため、どうしてもクリヤー塗装がしたいという場合は、業者に相談してみるといいでしょう。
クリヤー塗料での施工事例
大阪府堺市のお客様 施工:高橋塗装店
外壁がタイル調なので、それを生かしてクリヤー塗装をしていただきました。元のデザインを活かしたまま綺麗になり、うれしく思います。
神奈川県横浜市のお客様 施工:(株)功栄
日本ペイントのUVプロテクトクリヤーを使いました。艶ありにしたので、依然と同じ色でもピカピカして新築みたいです。
神奈川県小田原市のお客様 施工:(株)ビルドアート
特に色変えをする気もなかったので、クリヤー塗料で塗装しました。あまり変わりませんが、綺麗になりました。
埼玉県川越市のお客様 施工:(有)あおい塗装
レンガ調の外壁なので、塗りつぶしではなくクリヤー塗料で塗装しました。
千葉県船橋市のお客様 施工:緑青塗装
レンガ調を塗りつぶす提案をしてきた業者もいましたが、クリヤーで塗装してよかったです。