鈴木良太【編集者・サイト管理人】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。
宇野清隆【株式会社カルテット代表】
職人暦20年、他の塗装店にも技術などを教えるプロ中のプロ。日本ペイント、アステック、その他の大手塗料メーカーから全国1位の実績と表彰。審査の厳しいホームプロでは、毎年顧客満足優良店に選ばれる。
児玉圭司【株式会社児玉塗装代表】
名古屋市で地元のお客様に愛されて50年。児玉塗装の3代目。16歳の若さで塗装業入りし、趣味も特技も塗装。圧倒的な知識と技術でお客様からの満足度も高い。
怪しい業者に引っかからないためにも、うまい話には裏があると思っておいた方が無難です。「あなただけ特別に大幅な値引き、隣人には絶対に言わないでくださいね!」など言われた場合は注意が必要です。
当サイトに寄せられるお客様からの相談や、全国にいる優良業者の話を聞き、悪徳業者の特徴をまとめました。このような手口以外にも、見積書からも悪徳業者を見抜くことができます。
⇒ 見積書のチェックポイントはこちら
悪徳業者の代表的な営業トーク
トラブルが多い業者は、見積りの提案の仕方や、そのときの営業トークに特徴があります。どんなことにも共通していますが、自分だけ得するような話をされた場合は注意が必要です。うまい話には裏があります。
25~30年以上持つオリジナル塗料を使うからお得
誰もが1回の塗装で長持ちさせたいと思います。そこに付け込んで「1回塗れば25~30年持つので、金額は高いけど長い目でみればお得です!」という営業トークがあります。ほとんどの場合が、自社で開発したオリジナルの塗料、もしくはあるメーカーと共同開発した塗料というように説明します。
「なぜ、日本を代表する日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研の出している塗料よりも長持ちするような塗料を作れるのか?」と質問すると「大手塗料はこのような塗料を作ると、塗替え回数が少なくなり、商売にならないのであえて作っていないんですよ!」と言います。そんなことはあるはずがありません…。
オリジナル塗料と一緒によく言われるのが「セラミック系の塗料だから長持ちです!」と言うことです。セラミック100%の塗料は存在しません。そのため、シリコンにセラミックが入ったもの、フッ素にセラミックが入ったものという言い方が正しいです。耐久性は、シリコンなのか?フッ素なのか?という塗料のグレードで決まります。
当サイトの参加業者にも聞きましたが、30年持つ塗料は見たことがないと言っています。仮に30年持ったとしても、サイディングの目地部分に使うコーキング材は、どんなに良い物を使っても15~20年なので、必ず途中で補修が必要になります。
塗料などの提案内容が変わらず50万円以上の割引
これらの手口は、ほとんどの場合が、最初に提案されている金額が高く、値引き後の価格が相場前後になります。最初に高い金額が設定されている場合は、外壁の塗装する面積が大きめに出ていたり、塗料の単価が高い場合がほとんどです。
「割引後に相場になるなら別にこの業者でいいかな?」と言われる方もいますが、注意してください。外壁塗装は塗る職人が真面目にしっかりと塗装しないと、どんな良い塗料を使っても耐久性が半減します。このような提案をする業者に、大切なお家を任せられますか?
■モニター価格で大幅な値引きを提案
「家が目立つ位置にあるので、養生シートに社名を切れれば宣伝になるので割引…」
「オリジナルの新しい塗料で、今ならモニター価格にできるので割引…」
「この地域に新たに進出してきたので、今ならモニター価格で割引…」
■本日(3日以内)に契約していただければ大幅な値引きを提案
「もし、本日契約いただけるなら上司に連絡して、大幅な値引きをお願いしてみます…」
塗装が必要な屋根なのに、見積書には外壁と付帯部分の塗装しかない
屋根は、常に太陽光や雨水を浴びているため、外壁に比べ劣化しやすいです。そのため、コロニアルやスレートなど塗装が必要な屋根材は、外壁材と一緒に塗装するのが一般的です。もし、築10年前後で業者から塗装の提案を受け、屋根が含まれていない場合は注意が必要です。
この場合の見積書は、延床面積30坪のシリコン塗料で80~100万円前後になることが多く、一見すると相場かな?と思いそうですが、屋根が入っていないので高いです。
そして、後から「足場を組んだのだから屋根も塗装した方がいいですよ。」と言って追加工事を提案してくる可能性が高いです。
手抜き工事にはどのようなものがあるか?
外壁塗装の金額の内訳の約5割を占めるのが、職人の人件費と塗料などの材料費なので、この費用を安くすれば業者の利益が増えます。
その為、以下のような手抜き工事を行う業者がいます。
3回塗りのところを2回しか塗らない
既定の数量を塗らないことになるので、耐久性が落ちます。業者としては、材料代が安く済むだけではなく、作業がすくなくなるため、人件費を浮かせることができます。
塗料を必要以上に薄める
塗料を必要以上に薄めると、耐久性が落ちます。業者としては、材料代が安く済むだけではなく、塗料の粘着性が弱くなり塗りやすいため、作業が早くなります。そのため、工期が短くなり人件費を浮かせることができます。
しっかりと乾燥する前に次を塗る
前の工程で塗装した部分をしっかり乾燥させないと、密着性が悪くなり耐久性が落ちます。業者としては、1日に行う作業が増えるため、工期が短くなり人件費を浮かせることができます。
悪徳業者に騙されないための対策
悪徳業者に騙されないためのポイントをご紹介しますので、ぜひ覚えておきましょう。
訪問販売とは契約しない
もちろん全ての訪問販売業者が悪い業者というわけではありませんが、訪問販売に関するトラブルが多いのも事実です。そのため、訪問販売が来ても相手しないようにしましょう。
飛び込みで営業するような業者なので、契約するまで簡単には引き下がらないかと思いますが、毅然とした態度で対応して帰らせることが重要です。
即決しない
「今契約したら足場代を無料にします」「今すぐ修理しないと危険です」などと言い、特別な割引をしたり、お客様の不安を煽って契約をしようとする業者には要注意です。
このような業者は、利益を出すために手抜き工事をしたり、不必要な工事を行って高額な費用を請求する可能性があります。
劣化を指摘されると不安になったり、できるだけ費用を抑えたいと思うかもしれませんが、悪徳業者はその気持ちに付け込んで詐欺行為を働きますので、絶対にその場では即決しないようにしましょう。
ハッキリと断る
上記の2点の「訪問販売とは契約しない」「即決しない」とも繋がりますが、悪徳業者がよく使う営業トークをされたり、少しでも営業マンに不信感を覚える場合はハッキリと断るようにしましょう。
その際「検討します」や「家族と相談します」などと言って断ると、再度訪問して強引に契約をしようとしてくる可能性があります。
そのため、曖昧な言葉ではなく「お断ります」「結構です」とハッキリと伝えるのがポイントです。
断りにくかったり、トラブルを起こしたくないという気持ちもあるかと思いますが、悪徳業者はあらゆる手段を使って契約をさせようとするので、ご自身や大切なお家を守るためにも強気な姿勢を見せることが大切です。
もし強めには言えないという場合は、「他の業者と契約しています」「ハウスメーカーと相談中です」などと、他社とすでにやり取りしていることを伝え、訪問してきた業者とは契約する気がない旨をアピールするといいでしょう。
複数社から見積りを取る
外壁塗装を行う場合は、複数社から見積りを取って比較することが重要です。見積書には、工程・数量・単価・使用塗料が書かれており、それぞれ見比べることで適正な見積書なのかを判断できるようになります。
例えば、工程を確認することによってご自身の家に必要な工事がわかるため、それらが見積書に書かれているか?不必要な工事が含まれていないか?といった点を見極められます。
また、他の見積書と比べて数量が大きすぎたり、単価が高い場合は、高額請求をする悪徳業者の可能性が高いので、業者選びの選択肢からは外すべきと言えます。
そして、使用塗料について確認することも大切です。使用する塗料で耐久性や性能が決まってくるため、見積書に塗料の商品名とメーカー名がきちんと記載されているか見ておきましょう。
もし塗料に関する記載がない場合は、どのような塗料を使うのかがわからず、相場よりも高い金額で耐久性の低い塗料を使用される恐れがあります。
さらに「シリコン塗料」や「フッ素塗料」といった記載のみの見積書も注意が必要です。
これらは塗料のグレードであって商品名ではありません。シリコン塗料の中にも数多くの商品があり、耐用年数や性能もそれぞれ変わってきます。そのため、このような記載がされているときは、商品名とメーカー名を確認しておく必要があります。
業者の情報を調べる
業者から貰った名刺やパンフレットからインターネットで検索し、会社名や所在地、施工事例、口コミなどの情報を調べてみるようにしましょう。
悪質な業者の場合、所在地が架空の場所だったり、記載されている電話に繋がらないといったケースもあります。また、悪い評判や口コミが多い業者は、悪徳業者の可能性が高いので要注意です。
もし悪徳業者と契約してしまったら
もし悪徳業者の契約してしまった場合は、まずクーリングオフを利用できるか確認しましょう。
クーリングオフとは、契約書を交わしてから8日以内であれば、契約を解除できる制度です。ハガキやメールなどで契約解除したい旨を業者に通知するだけなので、難しい手続きはありません。
また、クーリングオフは期間内であれば工事が始まってからでも行うことが可能で、クーリングオフが適用された場合は、業者は家の状態を工事が始まる前の状態に戻す義務があります。
ただし、自ら業者の営業所に行って契約をしたり、過去1年以内に取引したことある業者の場合などは、8日以内であってもクーリングオフの対象外となります。
クーリングオフが適用されるのか判断できない時やクーリングオフの仕方を聞きたいという方は、お住いの地域の消費者センターに連絡することで詳しく相談できます。
8日以上過ぎてもクーリングオフができるケース
クーリングオフは基本的に8日以内でなければ適用されませんが、次のようなケースの場合は、8日を過ぎてもクーリングオフが適用されます。
・契約書を交わしていない
・契約時にクーリングオフに関して記載された書面を貰っていない
・「クーリングオフの対象外」「契約解除はできない」等と業者から嘘の説明を受けた
このような場合は、そもそもクーリングオフ期間が始まっていないとみなされるため、契約時の状況によっては8日以上経っていても契約解除できる可能性があります。
まとめ
このような業者が来たとしても即決しないことが重要です。大幅な値引きでお得に感じるようなことでも、よくよく調べると元々の提案金額が高く、割引後の金額が一般的な価格ということはよくあります。
また、1社だけの見積りだとその金額が適正なのか判断が難しいです。
外壁塗装は、成功も失敗も業者選びにかかっています。どんなに良い塗料を使っても手抜き業者が塗装すると、塗料が持つ耐久年数を発揮できません。また、安過ぎず高過ぎず適切な価格があるので、必ず複数社に見積りを取り比較することをオススメします。複数の優良塗装業者から見積もりを取りたい場合はコチラへ。