ウレタン防水の硬化不良とは

ウレタン防水の硬化不良とは、塗装したウレタン樹脂が固まっておらず、防水の上を歩くと足跡がついてしまう状態のことを言います。

正しく施工していればウレタン樹脂はしっかりと固まるため、上記のような状況が見られる場合は、施工中に何らかの不備があったと考えられます。

硬化不良を放置しているとどうなるのか？

硬化不良を放置していると見た目が悪くなるだけではなく、防水効果の低下にも繋がってしまいます。

なぜなら、歩行時や外部からの衝撃になどによって凹凸ができると水の流れが悪くなり、やがて排水口まで流れずに溜まった水が原因で、防水層が通常よりも早く劣化してしまうからです。

また、防水層の劣化は雨漏りに直結するので、最終的には建物全体に大きな影響を及ぼす可能性もあります。

硬化不良の原因

ウレタン防水の硬化不良が起こる原因は、次のようなケースが考えられます。

ウレタン樹脂を分厚く塗りすぎた

ウレタン樹脂を厚く塗りすぎると硬化不良が発生する場合があります。

理由は、必要以上に厚みをつけて塗装すると、表面だけ固まって中までしっかりと乾燥していない状態になってしまうからです。この現象を「中膿」と言います。

もちろん塗膜に厚みをだすことも大切ですが、ただ厚く塗ればいいという訳ではなく、きちんと乾燥するように2度に分けて塗り重ねていくことが重要です。

主剤と硬化剤の分量を間違えた

2液性の防水材を使用する場合、主剤と硬化剤の分量に間違いがあると硬化不良に繋がってしまいます。

なぜなら、2液性の防水材は主剤と硬化剤をよく混ぜ合わせることで初めて硬化するため、メーカーが定めている分量や比率を間違えると十分に硬化させることが出来ないからです。

撹拌不足

2液性の防水材を使用する時に、撹拌不足による硬化不良が起こる可能性があります。

前述の通り、2液性は主剤と硬化剤をよく混ぜ合わせなければならず、撹拌が不足していると防水材が硬化に影響が出てしまうのが理由です。

たとえ主剤と硬化剤の分量が正しかったとしても、撹拌が不足しているとしっかりと固まらないため、撹拌機と呼ばれる専用の機械を使って念入りに混ぜる必要があります。

乾燥時間の不足

気温が低い日に施工をすると、乾燥時間の不足によって硬化不良が発生することがあります。

なぜなら、気温が低いと防水材の乾燥に時間がかるからです。解決策として低温時の施工を避けるのが一番ですが、もし施工する場合は防水材専用の硬促進剤を使用して乾燥させます。

また、防水材には冬場のみに使用可能なものもあるので、季節によって使用する製品を使い分けることも重要です。

万が一、冬場に夏用の防水材を使うと全く硬化しないため注意が必要です。

反対に夏場に冬用の防水材を使うと、固まるのが早すぎて製品の使用可能な時間が非常に短くなってしまいます。

硬化不良が起きた時の対処法

ウレタン防水の硬化不良が起きている場合は、全て撤去して工事をやり直す必要があります。

理由は、形成した防水層を後から固める方法が無いからです。

全て一から施工し直すので非常に大変な作業になりますが、硬化不良が発生している状態の上から新たに塗装しても結局は施工不良が起こるため、全面撤去は必要な処置になります。

もしベランダや屋上を歩いてみて足跡がつくようであれば、早めに施工してもらった業者に見てもらって防水工事をやり直してもらうようにしましょう。

まとめ

ウレタン防水の硬化不良とは、塗装した防水材がしっかりと固まっておらず、施工箇所を歩いた時に足跡がついてしまう状態のことです。

硬化不良が起きる原因は、塗料の撹拌不足や分量の間違い、乾燥時間の不足などがあります。

硬化不良が発生している場合は、形成した防水層を全て撤去して防水工事をやり直す必要があるため、硬化不良に気づいた際は施工した業者に相談するようにしましょう。