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更新日:2022/03/31

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解説者鈴木良太【編集者・外壁塗装110番代表】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。

ウレタン防水の特徴と作業工程

【この記事の要約】

ウレタン防水は、防水工事の中でも最もポピュラーな工法と言えるため、業者に見積もりを依頼した際に提案されることも多いでしょう。

また、よく行われる工法なので、全て業者任せにしてしまう方もいるかと思います。しかし、ウレタン防水にも施工上の注意点やデメリットもあるため、お客様自身しっかりと理解しておくことが大切です。

このページでは、ウレタン防水の特徴やメリット・デメリット、作業の流れなどについて説明いたします。

ウレタン防水とは

ウレタン防水とは、液体状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成していく工法です。

塗料を塗る要領で施工でき、ベランダやバルコニー、屋上など様々な場所で採用されています。

外壁塗装でも「ウレタン塗料」と呼ばれるものがありますが、ウレタン塗料とウレタン防水は別物です。

耐用年数と費用

ウレタン防水の耐用年数は8~10年程度です。

単価は防水層も含む場合、㎡あたり4,500~7,000円が相場です。また、トップコートのみの場合は、㎡あたり2,000~2,500円程度になります。

工事期間

ウレタン防水で一般的なベランダを施工する場合、工期は3~6日程です。屋上の場合は、広さによっても変わりますが5~10日程になります。

ウレタン防水のメリット・デメリット

ウレタン防水のメリット・デメリットは次の通りです。

メリット

ウレタン防水は、複雑な形状や凹凸が多い場所でも優れた防水効果を発揮できます。

なぜなら、ウレタン防水は液体状なので、継ぎ目のない防水層を作ることができ、継ぎ目から雨水が浸入するリスクを減らすことができるからです。

また、ウレタン防水やFRP防水のように、継ぎ目が無いシームレスな仕上がりは見た目の美しさにも繋がります。

さらに、改修工事でウレタン防水を行う際は、費用を抑えられるというメリットもあります。

ウレタン防水の場合、既存の防水層を撤去せずにそのまま上から施工できるため、撤去にかかる人件費や処分費を浮かせられるためです。

デメリット

ウレタン防水のデメリットは、施工する職人の腕によって仕上がりに差が出る点です。

ウレタン樹脂を平滑に塗装できずに凹凸や塗膜の厚みの違いなどが生じると、雨水が正しく排水口へ流れず水たまりができてしまい、最終的に雨漏りの発生に繋がる恐れがあります。

その他に、ウレタン防水は塗料の乾燥に時間がかかるので、同じ塗膜防水であるFRP防水に比べて工期が長いこともデメリットとして挙げられます。

ウレタン防水の工法は2種類ある

ウレタン防水には、主に2つの工法があります。

密着工法

密着工法は、下地にウレタン樹脂を直接塗る方法です。

新築時や劣化が少ないベランダなどに適しており、通気緩衝工法と比べて費用を抑えられるメリットがあります。

さらに、密着工法にはメッシュシートを入れる「メッシュ工法」と呼ばれる方法もあり、メッシュシートを入れることで地震や衝撃などに強い防水層を作ることができます。

注意点として、密着工法は下地と密着しているので、下地の影響を受けやすい工法になります。

そのため、すでに劣化が進んでいる下地に施工したり、下地処理が不十分な状態のまま施工すると、防水層のひび割れや膨れなどを発生させてしまう場合があります。

通気緩衝工法

通気緩衝工法とは、直接下地に塗装せずに、無数の穴が空いた「通気緩衡シート」と「脱気筒」を取り付けてからウレタン樹脂を塗る方法です。絶縁工法とも呼ばれています。

通常、防水層の膨れは、下地に含まれる水分が原因で発生します。

通気緩衝工法であれば、通気緩衡シートが下地に溜まった水分や湿気を逃がし、さらに脱気筒から逃がした水分や湿気を排出できるため、膨れがの発生を抑えることが可能です。

以上のことから、通気緩衝工法は雨漏りで下地に水分が含まれている場合や、古い建物などに適した工法になります。

ウレタン防水 密着工法の作業工程

密着工法のおおまかな流れは以下の通りです。

1.高圧洗浄・下地処理

まずは、高圧洗浄機を使って施工面の汚れを洗い流していきます。

そして下地処理で、高圧洗浄では落としきれなかった汚れを除去したり、下地に凹凸ができないように調整します。また、この際にひび割れの補修なども行います。

2.プライマー(下塗り)塗装

プライマーは接着剤の役割を果たし、下地とウレタン樹脂の密着性を高める効果があります。

プライマー塗装を怠ると、ウレタン樹脂を塗装してもすぐに剥がれてしまいます。

3.メッシュシート貼り(メッシュ工法の場合)

メッシュ工法の場合は、ウレタン樹脂を塗装する前にメッシュシートを貼り付けていきます。

メッシュシートを貼ることで防水層の強度が高まります。

4.ウレタン樹脂塗装

コテやローラーなどを使用してウレタン樹脂を塗布します。

一度塗装してからしっかりと乾燥させた後、さらに塗膜の厚みを出すために二度塗りします。規定通りの厚みが無ければ、本来の防水効果が発揮できません。

5.トップコート塗装

最後に防水層を保護するために、トップコートを塗装します。

トップコートは紫外線から防水層を守り、劣化を抑える役割があります。

ウレタン防水 通気緩衝工法の作業工程

通気緩衝工法のおおまかな流れは以下の通りです。

1.高圧洗浄・下地処理

密着工法と同じく、まずは高圧洗浄で汚れを洗い流し、高圧洗浄で落としきれなかった汚れも綺麗に除去していきます。

続いて、プライマーがしっかりと定着するようにひび割れの補修などを行い、下地に凹凸ができないよう平らに整えていきます。

既存の防水層に水分が溜まっている場合は、既存の防水層を撤去してから下地処理を行うケースもあります。

2.プライマー(下塗り)塗装

下地調整の後は、プライマーを塗装します。プライマーは接着剤の役割があるため、下地とウレタン樹脂の密着性を高めてくれます。

3.通気緩衝シート貼り

専用の接着剤を使って、通気緩衝シートを貼り付けていきます。

貼り付ける際は、シートがよれないようにローラーで綺麗に整えながら作業を進めます。

貼り付けた後は、シートとシートの間に隙間が出来ないよう継ぎ目にテープを貼り、さらにテープの隙間からも雨水が浸入しないように防水材を塗布して隙間を無くします。

4.脱気筒取り付け

下地に含まれた水分や湿気を排出するための脱気筒を取り付けます。

湿気は下から上へ移動する性質があるので、勾配の高い位置に脱気筒を設置して効率的に湿気等を排出します。

5.ウレタン樹脂塗装

ウレタン樹脂は厚みを出すために二度塗りします。この際、一回目の塗装をした後、十分に乾燥させてから二回目の塗装を行います。

6.トップコート塗装

形成した防水層を保護するためにトップコートを塗装します。

ウレタン防水は紫外線に弱いので、トップコートで紫外線から防水層を守ります。

まとめ

ウレタン防水とは、液体状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を作っていく工法で、他の工法に比べてコストパフォーマンスに優れている特徴があります。

ただし、ウレタン防水は塗膜を均一の厚さに保ち、凹凸の無い仕上がりにしなければならないため、施工する人の技術力によって仕上がりに差が出てしまうことがあります。

また、ウレタン防水は主に「密着工法」と「通気緩衝工法」の2つの工法に分類され、下地の状態や建物の築年数などによって適した方法を選択する必要があります。

防水工事を依頼する際は業者任せにするのではなく、「どのような工法なのか」「なぜその工法選ぶのか」なども聞いてみると良いでしょう。

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