幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。
防水工事で行う下地処理とは
防水工事には「下地処理」と呼ばれる工程があります。下地調整と言われることもあり、工事の仕上がりを左右する非常に重要なポイントです。
また、下地処理にはいくつかの作業があるので、よりよい工事や業者選びをするためにも、それらの作業内容や目的について知っておくことが大切です。
このページでは、防水工事で行う下地処理の必要性や、下地処理が不十分だった時の起こる不具合などについて説明いたします。
下地処理の目的
下地処理の目的は、防水工事を行う前に下地の状態を整えて、施工する防水層がきちんと機能するようにすることです。
どんなに耐久性の高い工法を選んだとしても、下地処理を怠ってしまうと防水層本来の機能が発揮できずに、施工から数年でひび割れや膨れなどの不具合が生じてしまいます。
下地処理の作業内容
下地処理には、主に次のような作業内容があります。
高圧洗浄
高圧洗浄とは、高圧洗浄機を使って下地を綺麗に洗い流す作業です。
屋上やベランダは泥やホコリ、砂、コケなどの汚れが付着しているため、まずはそれらを除去することが重要です。
高圧洗浄を十分に行わずに汚れが残ったまま工事を進めてしまうと、下地と防水層の密着性が低下し、防水層の膨れや剥がれなどを引き起こしてしまう原因となります。
既存の防水層撤去
防水工事には、既存の防水層を撤去して新たに防水層を形成する「撤去工法」と、既存の防水層を撤去せずに上から防水層を形成する「かぶせ工法」などの種類があります。
撤去工法の場合は、下地処理の一番初めに既存の防水層を撤去し、その後に高圧洗浄や目地処理などの作業を行います。
ケレン
ケレンとは、ヤスリや専用の工具を使用して、高圧洗浄で落としきれなかったやサビなどを除去する作業です。
また、ケレンには「目粗し」と呼ばれる、あえて下地の表面に細かい傷を付けてザラザラにする作業も含まれています。
表面を傷つけることで、ツルツルした表面に塗装する時と比べて塗料の密着性を高めることができます。
目地処理
目地とは、部材と部材の接合部分にできる継ぎ目のことを指し、目地処理は目地に充填されているコーキングの撤去や、新たにコーキングを充填する作業です。
コーキングには伸縮性があり、建物の揺れやコンクリートの膨張・伸縮に合わせて伸び縮みして、部材同士が傷つけあうのを防ぐ役割を果たします。
クラック補修
ひび割れのことをクラックと呼び、髪の毛程度の細さのひび割れをヘアークラックと言います。
補修方法はひび割れの大きさや業者の対応によって異なりますが、基本的にはクラック部分にコーキングを充填して隙間を埋めていく方法になります。
また、コーキングがしっかりと奥まで入り込むように、VカットやUカットでクラックを広げてからコーキングを充填する場合もあります。
ノロ引き
ノロ引きとはセメント、樹脂、水を混ぜ合わせたものを下地に塗布し、床面が平らになるように整えていく作業です。下地の傷みが激しく、凹凸や歪みが多い時に行われます。
また、既存の防水層と新たに施工する防水層の相性によっては、より密着性を高めるためにノロ引きを行うこともあります。
下地処理が不十分だと起こる不具合
下地処理が不十分の場合、防水層がしっかりと密着せずに早期の剥がれや浮き、ひび割れ、さらには水溜まり、コケ・雑草の繁殖などあらゆる症状が現れます。
なぜなら、下地処理には下地の状態を整えて、防水層をしっかりと密着させる目的があるからです。
また、下地に汚れや凹凸などが残ったまま防水工事を行うと、防水層本来の性能が発揮できないので防水効果も低下してしまいます。
下地処理を怠ると様々なトラブルに発展し、最終的には隙間や亀裂から雨水が浸入して雨漏りが発生するので注意が必要です。
まとめ
下地処理には高圧洗浄、ケレン、クラック補修など様々な作業があり、それぞれ下地と防水層の密着性を高めて、防水機能を最大限に発揮できるようにする目的があります。
下地処理を十分に行わずに防水層を形成してしまうと、早期に防水層の膨れや剥がれ、ひび割れといった施工不良が発生する恐れがあります。
そのため、業者に見積書を依頼する際は、下地処理の記載についてもチェックすることが大切です。
また、見積書に詳しい下地処理の作業内容が書かれていない場合は、きちんと業者に確認しておくようにしましょう。