幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。
防水工事をDIYする注意点と作業工程
ベランダや陸屋根の防水は、紫外線や雨風の影響を受けて劣化していくため、定期的なメンテナンスが大切です。
しかし、住宅のメンテナンスには費用がかかるため、防水工事はDIYで済ませたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
このページでは、防水工事をDIYするメリット・デメリット、作業の流れなどについて紹介いたします。
防水工事のDIYはできるのか?
ベランダや陸屋根の防水は「下地→防水層→トップコート」の3層構造になっており、DIYが可能なのは、下地のコンクリートがむき出しになっている状態の場合です。
反対に、下地が次のような状態ではDIYは難しいでしょう。
コンクリートにひび割れや破損がある
コンクリートがむき出しになっている状態でも、ひび割れや破損などがある場合はDIYに向いていません。
なぜなら、ひび割れや破損部分の補修は非常に難しく、素人がDIYで補修してもすぐに症状が再発してしまうからです。
さらに下地のコンクリートが傷んでいると、その上に形成される防水層の劣化する原因にもなるため、結果的に本来の防水性能を発揮できずに雨水が浸入する恐れもあります。
既にウレタン防水かFRP防水が施工されている
既にウレタン防水かFRP防水が施工されている場合は、比較的簡単に行えるトップコートの塗り替えのみであればDIYが可能です。
なぜなら、ウレタン防水やFRP防水の上に新たな防水層を形成したり、既存の防水層を撤去してから施工し直す方法は、専門的な知識や技術が必要になるからです。
ただし、防水層に劣化が見られる場合はトップコートの塗り替えをしても意味が無いので、業者に依頼して防水層から施工してもらう必要があります。
トップコートは紫外線から防水層を保護する目的で塗装されるもので、トップコートそのものに防水性は備わっていません。
そのため、いくらトップコートを塗り替えても、防水層が劣化していては十分な防水効果が得られず、最終的に雨漏りの発生に繋がってしまいます。
DIYするならウレタン防水がオススメ
防水工事をDIYする場合は、ウレタン防水がオススメです。
なぜなら、ウレタン防水は液体状なので形状にとらわれず施工が可能で、さらにペンキを塗装するように塗り重ねて防水層を作り上げていくため、他の工法に比べて難易度が低いと言えるからです。
ただし、難易度が低いとは言え、素人が均一に塗装するのは難しく、塗りムラも起こりやすいです。
また、一度塗るごとにしっかりと乾燥させる必要があるので時間もかかります。
ウレタン防水で使用する塗料の選び方
ウレタン防水をDIYで行う際は、以下の2点を参考に塗料を選ぶといいでしょう。
注意点として、防水工事のウレタン防水で使う塗料と、外壁塗装で使うウレタン塗料は全くの別物なので、塗料を選ぶ際も混同しないように気を付ける必要があります。
ウレタン防水の「1液性」を選ぶ
ウレタン防水の塗料には「1液性」と「2液性」の2種類あり、DIYの場合は1液性の方がオススメです。
なぜなら、2液性に比べて価格が高くなるものの、1液性は缶を開けてそのまま使用することができるので素人にも扱いやすいからです。
2液性の場合、塗料とは別に硬化剤を用意して混ぜ合わせる必要があるため手間がかかります。
また、塗料と硬化剤の比率を間違えると塗装した際にしっかりと固まらず、施工不良を起こしてしまう可能性もあります。
塗料とトップコートがセットになっているものを選ぶ
塗料を購入する際は、下塗り塗料、防水塗料、トップコートが全てセットになっているものを選ぶと良いでしょう。
理由は、ウレタン防水は下塗り塗料→防水塗料→トップコートの順番で塗装するのでセットになっていれば非常に便利な点や、それぞれ必要な分量が揃えられているので無駄が出にくいといった点が挙げられます。
また、同じウレタン防水だとしても、塗料ごとにメーカーが異なるものを使用すると相性が合わずに施工不良に繋がることもあります。
そのため、セットになっているものを選ぶ方が安心です。
DIYのメリット
防水工事をDIYするメリットは次の通りです。
費用を安く抑えられる
DIYで防水工事を行う場合、業者に依頼するよりも費用を安く抑えられます。
なぜなら、業者に依頼すると人件費や交通費などの諸経費もかかりますが、DIYであれば道具や塗料を用意する費用だけで済ませることができるからです。
ただ、高圧洗浄機や道具を一から揃える場合、工事の規模によっては業者に依頼しても金額があまり変わらないという可能性もあります。
金額に大差がなければプロに任せるのが一番ですので、まずは金額を比較してみるようにしましょう。
業者の出入りがない
DIYはであれば、業者が室内を出入りすることもありません。
業者に依頼する場合、常に業者がベランダで作業しているのはもちろん、ベランダへ移動する際にリビングなどを通る必要もあります。
そのため、家に業者を入れたくない人にとってはDIYは最適な方法と言えるでしょう。
業者探しの必要がない
面倒な業者探しも必要ないので、手間や時間もかからないといったメリットもあります。また、悪徳業者に騙されることもないため安心です。
ただし、悪徳業者に騙されたくないからとDIYをしても、DIYによって施工不良が発生したり、施工前より状況を悪化させる事態になっては本末転倒です。
そのため、悪徳業者に騙されたくないだけを理由にDIYするのはオススメできません。
悪徳業者を避けたいという方は、まずは業者を見極める方法や見積書の見方などを理解して、自分自身で防水に関する知識を身につけることが大切です。
DIYのデメリット
防水工事をDIYするデメリットとして、次のようなことが挙げられます。
すぐに剥がれてしまう
DIYによる防水工事は、早期の剥がれなどの施工不良が発生する可能性が高いです。
なぜなら、防水工事には専門的な知識や技術が必要不可欠で、素人が行うDIYでは仕上がりに大きな差が出てしまうからです。
また、剥がれやひび割れなどの症状が見られる場合は、防水性能が十分に発揮されていない状態と言えるため、やがて雨水が建物内部に浸入して雨漏りに繋がってしまいます。
結果的に余分な費用がかかってしまう
長期的に見ると、業者に依頼するよりもDIYの方が余分な費用がかかる場合があります。
前述の通り、DIYは施工不良が起きやすく、メーカーが定めている耐用年数まで持たないことがほとんどです。
そのため、業者に依頼して施工する場合よりも塗り替えの回数が多くなり、材料費や補修費用などもその都度かかってしまいます。
また、せっかく時間をかけてDIYをしても、結局剥がれなどの不具合に対処できず業者に依頼することになり、本来は必要のない費用をかける結果になる可能性もあります。
アフターフォローがない
防水工事をDIYするとアフターフォローが無いため、施工後に不具合が生じても自分でやり直さなければならず、さらに時間とお金を費やすことになります。
防水工事を業者に依頼した場合は、もし剥がれや膨れなどの施工不良が起きたとしてもアフターフォローや保証制度が適用され、無償で補修してもらえることが多いです。
ウレタン防水をDIYする時の工程と必要な道具
ウレタン防水をDIYする時の作業工程や必要な道具は以下の通りです。
1.清掃・洗浄
まずは高圧洗浄機やデッキブラシなどを使って、床面の細かな汚れや泥、コケなどを綺麗に洗い流していきます。
清掃・洗浄が不十分だと、プライマーが下地に密着せずに防水層が剥がれる原因になるため、念入りに作業することが重要です。
【トップコートの塗り替えのみの場合】
トップコートの塗り替えのみする場合は、既存のトップコートを金属ベラで剥がしてから、高圧洗浄機で汚れやホコリ等を除去します。
その後は「5.トップコート塗布」に移ります。
2.養生
養生とは、塗装しない部分を保護する作業のことです。
養生テープやビニールを使って、外壁や窓など塗料が付いたら困る箇所を全て覆っていきます。
また、周囲に塗料が飛び散ってご近所トラブルに繋がることも考えられるため、手摺や柵などの隙間もきちんと覆っておくと安心です。
実際の塗料作業には関係ないと思わるかもしれませんが、塗装後の美観に大きく影響しますので丁寧に作業することが大切です。
3.プライマー塗布
プライマーとは、接着剤のような役割を果たす下塗り材のことです。
プライマーには防水層と下地の密着性を高める効果があるため、プライマー塗布に不備があると防水層が剥がれる原因になります。
プライマーを塗装する際はハケやローラーを使用し、下地全面に塗り終えたらしっかりと乾燥させます。
一般的に乾燥時間は3時間以上とされていますが、商品によって時間は異なるので容器や説明書などを確認しておきましょう。
4.ウレタン塗料塗布
プライマーの乾燥後は、コテやローラーを使ってウレタン塗料を塗布し、全体に塗り終わったらしっかりと乾燥させます。
乾燥時間は商品や季節によって異なりますが、12時間~20時間程度です。
1回目の塗料が乾く前に2回目の塗装を行ってしまうと、防水層の剥がれや膨れの原因になるので注意しましょう。
ウレタン塗料が乾燥したら2回目の塗装を行います。
塗装する際は、出来るだけ塗りムラが出ないように丁寧に塗装することが重要です。塗りムラが多くなると塗料本来の性能が発揮されず、防水機能の低下にも繋がってしまいます。
5.トップコート塗布
ウレタン塗料が乾燥した後は、仕上げにトップコートを塗装していきます。
防水層は紫外線の影響を受けやすいため、表面にトップコートを塗装して紫外線から防水層を保護します。
全体的にムラなく塗り、乾燥させたら完成です。
トップコートが乾く前に歩くとホコリや足跡が付いてしまうので、必ずメーカーが定めている乾燥時間を設けましょう。
DIYする時の注意点
防水工事をDIYする時の注意点は、以下のようなことが挙げられます。
他の塗料が混ざらないようにする
作業中や塗料を保管する際は、プライマー、防水塗料、トップコートそれぞれの塗料が混ざらないように注意しましょう。
なぜなら、塗料ごとに性質や役割が違うため、異なる塗料が少しでも混ざると本来の性能が発揮できなくなってしまうからです。
塗料が混ざり合うのを防ぐ対策としては、塗料ごとにハケやローラーを変えて使ったり、購入した時のままの容器で保管しておく等の方法があります。
塗料に水が入らないようにする
塗料に水が入らないようにすることも大切です。
理由は、塗料と水が混ざってしまうと塗料本来の性能が発揮できなかったり、塗料自体が傷んでしまって使えなくなってしまう可能性もあるからです。
そのため、保管する際はしっかりと蓋を閉めて、雨の日や湿気の多い日は施工を避けるようにする必要があります。
火気厳禁
作業中や保管場所の近くで、火を使用するのは厳禁です。
なぜなら、ウレタン防水は耐火性がないので火を近づけると焦げてしまったり、最悪の場合は引火して火事に繋がる危険性もあるからです。
塗料の施工場所はもちろん、ウレタン塗料を塗装した場所には火気を近づけないようにしましょう。
防水工事は専門業者に依頼しましょう
防水工事をする際は、DIYではなく専門業者に依頼するのがオススメです。
なぜなら、DIYだと施工不良が起こる可能性が高く、本来の耐用年数よりも早く劣化する場合も多いからです。
また、間違った方法で作業してしまうと施工前よりも状況が悪化し、さらなる補修や防水工事が必要になる場合もあります。
そうなると費用と時間もかかり、結果的に専門業者に依頼するよりも高額になってしまうことも考えられます。
専門業者であれば、知識や技術力もあるので失敗する可能性も低く、もし不具合が起きてもアフターフォローや保証制度によって無償で補修してくれるメリットがあります。
防水工事は国家資格も存在するほど高い技術力が必要となる工事なので、大切なお家を守るためにも専門業者に依頼するほうがいいでしょう。
まとめ
防水工事をDIYする際は、比較的施工がしやすいウレタン防水がオススメです。
DIYであれば費用を抑えることができたり、業者の都合に合わせずに自由に施工できるメリットがあります。
実際に塗装する時は、水や異なる塗料が混ざり合わないように注意し、メーカーが定めている塗布量や乾燥時間を守って作業を進めることが重要です。
ただ、専門業者のほうがDIYよりも工事品質が格段に上がり、長期的に見ると費用を抑えられることもあるので、本来であれば防水工事は専門業者に依頼するのが望ましいです。