幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。
アスファルト防水の押えコンクリートとは
アスファルト防水の仕上げ方法には、防水層をコンクリートで保護する「アスファルト防水押えコンクリート仕上げ」という方法があります。
そして、アスファルト防水押えコンクリート仕上げで使われるコンクリートを「押しコンクリート」略して「押しコン」と言います。また、シンダーコンクリートや保護コンクリートと呼ばれることもあります。
このページでは、押しコンクリートの必要性や劣化症状などについて説明しています。
押えコンクリートとは
押えコンクリートとは、アスファルト防水の防水層の上に打設するコンクリートのことです。
コンクリートそのものに防水性はありませんが、紫外線や衝撃から防水層を保護し、浮き上がりを防ぐ目的があります。
押えコンクリートを打設する際は、通常のコンクリートを使用すると重さで建物に悪影響を及ぼしてしまうため、建物に負担をかけないように通常のものより軽い、厚さ6cm程度の軽量コンクリートを使用します。
押えコンクリートが必要なケース
屋上やバルコニーなどを歩行できるようにしたい場合は、押えコンクリートを打設して保護する必要があります。
なぜなら、アスファルト防水は衝撃に弱いため、直接防水層の上を歩くと損傷してしまう恐れがあるからです。
またデメリットとしては、万が一雨漏りした際に、雨水の浸入経路を判断するのが難しいという点が挙げられます。
理由は、防水層がコンクリートで覆われているので全体の劣化状態がわかりくく、さらに浸入した雨水の流れを辿るのも困難だからです。
そのため、雨漏りが発生する前に、状況に応じてメンテナンスすることが重要です。
押えコンクリートの劣化症状
押えコンクリートの劣化症状には、以下のようなものがあります。
コンクリートのひび割れ
コンクリートのひび割れは、経年劣化や施工不良によって発生します。
コンクリートの下に防水層があるので、すぐに雨漏りするわけではありませんが、ひび割れを見つけた時は早めに対処するのがいいでしょう。
なぜなら、表面のみの軽度なひび割れの場合は、コンクリートの上から新たに防水工事することが可能ですが、状況が激しい場合はコンクリートを撤去する必要もあり、工事費だけではなくコンクリートの処分費などもかかってしまうからです。
また、ひび割れの範囲が広がると、防水層を劣化させて雨漏りが発生するリスクも高まるので注意が必要です。
伸縮目地のひび割れ・浮き
伸縮目地とは、コンクリートに縦横3m程度の間隔で設けられている目地のことです。
コンクリートは寒暖の差で膨張と収縮を繰り返すため、伸縮目地もその動きに合わせて伸び縮みすることでクッションの役割を果たし、コンクリートと防水層が破損しないようにしています。
伸縮目地のひび割れや浮きは、経年劣化によって伸縮する機能が低下し、コンクリートが膨張する際に伸縮目地を傷つけてしまうことが原因で発生します。
コンクリートのひび割れと同様、すぐに雨漏りに発展するというわけではありませんが、放置している防水層の劣化にも繋がるため、早めのメンテナンスが大切です。
雑草が生えている
雑草が生える原因として、鳥のフンに種子が混ざっていたり、風によって種子が飛ばれてきたなどの状況が考えられます。
雑草が生えている場合は抜かずに、まずは専門の業者に見てもらうようにしましょう。
なぜなら、雑草の根は非常に強く、防水層にまで到達していると、雑草を抜いた時に防水層も破断させてしまうことになるからです。
また、コンクリート内部に水分が入り込むと、内部の鉄筋やコンクリート自体の劣化を早めてしまう可能性もあります。
雑草の繁殖は、見た目が悪くなるだけではなく、防水層の機能にまで影響するので注意が必要です。
押えコンクリート仕上げの改修方法
押えコンクリート仕上げの改修方法は2パターンあります。
まず1つ目は、既存のコンクリートと防水層を撤去して新たに防水工事を行う方法です。
そしてもう1つは、既存のコンクリートと防水層は撤去せずに、そのままコンクリートの上から防水工事を行う方法です。
一般的には、コンクリートの撤去に労力を費やすため、コンクリートの劣化状況が激しい場合を除いて、コンクリートは撤去せずに上から防水工事を行う方法が採用されます。
以下は、コンクリートの上から防水工事を行う時の大まかな流れです。
1.伸縮目地の撤去・シーリング充填
伸縮目地はコンクリートの動きに合わせて伸縮し、コンクリートのひび割れや破損を防ぐ重要な部分です。
改修工事の際は、劣化している箇所だけではなく、全ての伸縮目地を撤去します。
古い伸縮目地をそのまま残して上から防水工事行うと、古い伸縮目地が劣化によって反りあがり、上に施工した防水層を破損させてしまう可能性があるためです。
撤去した後は、新たにシーリング材を充填して、平らになるように整えていきます。
2.下地処理
コンクリートは紫外線や雨風の影響で表面に凹凸ができてしまうので、まずは下地となるコンクリートを平滑になるように補修していきます。
万が一、下地処理を行わずに防水工事を進めてしまうと防水層に不具合が生じたり、勾配不良の原因になる恐れがあります。
また、ひび割れや欠損などがある場合も、あらかじめ補修しておきます。
3.防水層の形成
下地が整ったら防水層を形成していきます。ここで行う工法としては、コンクリートと防水層の間に隙間を作り通気性を保てる「通気緩衝工法」や「脱気工法」と呼ばれる方法を採用します。
理由としては、コンクリートは水分を含むため、コンクリートと防水層を密着させてしまうと水分や湿気の逃げ道がなくなり、防水層の膨れを起こしてしまう場合があるからです。
通気緩衝工法や脱気工法などを行える防水工法はウレタン防水、アスファルト防水、シート防水などがあります。
まとめ
アスファルト防水の押えコンクリートとは、防水層を紫外線や衝撃などから守るために打設させるコンクリートのことで、主に屋上やバルコニーの歩行を可能にしたい場合に用いられます。
また、押えコンクリートの劣化症状には、ひび割れや伸縮目地の破損などがあり、メンテナンスする際は全体の改修工事が必要になります。
押えコンクリートの下に防水層があるので、ひび割れ等が発生してもすぐに雨漏りするわけではありませんが、劣化を放置していると雨漏りの発生に繋がってしまうため、状況が悪化する前に専門の業者に相談することが大切です。